日本バイオインフォマティクス学会 2019年年会 第8回生命医薬情報学連合大会(IIBMP2019)

BoF セッション概要

BoF セッション詳細

  • 質量分析データベース・リポジトリの最前線

    オーガナイザー:早川英介1, 山本博之2(1. 沖縄科学技術大学院大学, 2. ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社)

    近年、質量分析データを格納するリポジトリについて、国際的な連携の下、その整備が急速に進められている。日本国内においても、プロテオーム統合データベースであるjPOSTが2016年に公開され、jPOSTと連携したグライコミクスおよびグライコプロテオミクスの質量分析データのリポジトリである糖鎖統合データベースGlycoPOSTが2019年に公開されている。メタボロミクスにおいても、現在MetaboBankの開発が進められており、それに先駆けて理化学研究所環境資源科学研究センターが保有するデータのリポジトリであるPlant Metabolome MetaDatabaseが公開されている。
    本セッションでは、これらの最新鋭のデータベースプロジェクトに携わる第一線の研究者による講演を通して、データの標準化、同一プロトコルによる再解析、RDF化、データの安定的・恒久的維持およびデータリソースの有効活用の工夫など、プロテオミクス、グライコミクス、メタボロミクスにおける質量分析データのリポジトリに関する最新の取り組みを紹介する。本セッションを通して、バイオインフォマティクス研究者に質量分析データにアクセスするために必要な情報を提供することで、バイオインフォマティクスコミュニティと質量分析データベースとの連携が今後さらに促進されることを期待する。

    • 守屋 勇樹(情報・システム研究機構 データサイエンス共同利用基盤施設 ライフサイエンス統合データベースセンター)
      「jPOST:プロテオームデータのための標準リポジトリと統合データベース」
    • 奥田 修二郎(新潟大学大学院医歯学総合研究科)
      「糖鎖関連の質量分析データリポジトリGlycoPOST」
    • 櫻井 望(情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所 生命情報・DDBJセンター)
      「公共のメタボロームデータレポジトリMetaboBankの開発」
    • 福島 敦史(国立研究開発法人 理化学研究所 環境資源科学研究センター)
      「理研植物メタボロームメタデータベースの開発」
  • メディカルインフォマティクスへの招待 −−医療・健診データの二次利用−−

    オーガナイザー:鎌田真由美1 , 荻島創一2(1. 京都大学, 2. 東北大学東北メディカル・メガバンク機構)

    近年、医療・創薬をはじめとするライフサイエンス・ヘルスケア領域では、医療ICTの普及により、医療・健診データなどのリアルワールドデータが膨大に取得されるようになっている。医科学においては、これらデータの二次利用による予防医療や個別化医療のための知識創出が期待されており、産学連携を含めたメディカルインフォマティクスが求められているが、まだまだ人材が不足している。メディカルインフォマティクスにおいては、ゲノム情報とともにコホートや電子カルテで取得できる検査値などの時系列データを用い、疾患の発症予測や予後関連因子の探索などが行われているが、課題も多い。というのも、リアルワールドデータは、様々なデータ型が混在しかつ欠損値が多く存在すること、そしてそれらデータを機械学習などの既存のデータ解析フレームへ適用するには医療・健診データの綾を知るためのドメイン知識が必要となる。本セッションでは、最近の研究事例紹介を通してメディカルインフォマティクスの現状と課題を共有し、今どのような人材が求められているのか、そして今後の予防・個別化医療のためのインフォマティクスについて議論したい。

    • 水野 聖士(東北大学東北メディカル・メガバンク機構)
      「妊娠高血圧症候群(HDP)の高精度なフェノタイピングに基づく発症リスク予測の検討」
    • 河本 大知(京都大学大学院 医学研究科)
      「岩木健康増進プロジェクト健診データから、人の暮らしと疾患の関わりを理解する」
    • 佐藤 憲明(京都大学大学院 医学研究科)
      「大規模健診データにおけるメタゲノム解析」
    • 内野 詠一郎(京都大学大学院 医学研究科)
      「カルテデータによる臨床データマイニングの世界」
    • 佐藤 美穂(京都大学大学院 医学研究科)
      「実臨床データを用いた抗がん剤による有害事象発現予測モデルの構築」
  • CWL Live Coding Session

    オーガナイザー:大田達郎1(1. ライフサイエンス統合データベースセンター)

    Common Workflow Language (CWL) は、コマンドラインインターフェースによるデータ解析においてツール、ワークフローを記述するための標準規約である。CWL はバイオインフォマティクスを始めとした様々な分野で普及しつつあり、コンテナ仮想化技術との組み合わせにより、データ解析ワークフローの可搬性、再現性を高める技術として注目を集めている。CWLによって記述されたツールやワークフローの共有や、CWLを実行する workflow runner の開発だけでなく、ワークフローの可視化ツールや GUI エディタなど、CWLを用いた開発をサポートする様々なユーティリティツールの開発も活発に行われており、CWLは今最も注目されているワークフロー記述フレームワークの1つである。本セッションでは、CWL の Co-Founder である Michael Crusoe 氏を招き、どのように CWL によってツール定義、ワークフロー定義を技術するかを、ライブコーディングによって解説する。

  • 臨床検体を用いたメディカルゲノム解析 ~疾患関連遺伝子同定から発症予測解析まで~

    オーガナイザー:重水大智1 , 奥田修二郎2(1. 国立長寿医療研究センター, 2. 新潟大学)

    近年の次世代シークエンサーの飛躍的な技術革新により、大容量のゲノムデータ(全ゲノム配列、全エクソーム配列、mRNA、miRNA等)がより安価に得られる時代が到来している。それに伴い、この大規模なゲノムデータを解析するインフォマティクスの重要性がますます増している。現在の医学研究では、これらの大規模なゲノムデータ解析から疾患バイオマーカーの同定や早期発症・予防を目的とした予測アルゴリズムの開発など、臨床応用を目指した研究が急速に求められている。しかしながら、本研究を推進できるゲノム医学と情報学、両分野に精通しているゲノムインフォマティクスの人材が圧倒的に不足している。したがって、次世代の若手研究者の人材育成が急務である。本セッションでは、メディカルゲノミクスの分野で活躍している研究者の最新の知見を紹介することで、若手研究者の新規参入へのきっかけを提供すると共に、当分野の今後の展望と可能性を議論したい。

    • 宮 冬樹(東京医科歯科大学 難治疾患研究所)
      「次世代シーケンサーを用いた遺伝性疾患の原因遺伝子変異同定解析手法の最前線」
    • 福永 航也(理化学研究所 統合生命医科学研究センター)
      「ファーマコゲノミクス研究のための遺伝子パネル(PKSeq)の開発と臨床応用の可能性」
    • 西野 穣(東京医科歯科大学 難治疾患研究所)
      「がんエクソームシーケンスが示すがん転移の多細胞起源性」
    • 橋本 浩介(理化学研究所 統合生命医科学研究センター)
      「百寿者免疫細胞のシングルセルトランスクリプトーム解析」
    • 奥田 修二郎(新潟大学大学院 医歯学総合研究科)
      「Precision medicine実現に向けたがんゲノムインフォマティクス」
    • 重水 大智(国立長寿医療研究センター メディカルゲノムセンター)
      「ヒトゲノム・オミクスデータを用いた認知症研究の現在」
  • データ解析ワークフローの共有に向けて

    オーガナイザー:志波 優1(1.東京農業大学)

    生命医薬分野におけるデータ解析では、計算機環境が多様化し、扱わなければならないソフトウェア(ツール)の数が増大しているため、新規ツールの導入や構築した解析手順(ワークフロー)のラボ内外での共有が困難である。本セッションでは、Webベースのデータ解析プラットフォームである Galaxy のユーザコミュニティ(http://wiki.pitagora-galaxy.org/; twitter: @pitagora_meetup) メンバーである演者らによる事例紹介を通して、 Galaxy やコンテナ型仮想化技術のDockerなどを用いてワークフローを共有する事例を紹介し、データ解析手順の透明性と再現性を担保しつつ、解析手順を効率よく共有するための手法について議論する。

    • 山中 遼太(オラクル・タイランド)
      「Galaxyとコミュニティ活動の紹介」
    • 浅井 淳志(東京大学)
      「日本語版 Galaxy チュートリアルの紹介」
    • 菅波 麻衣(東京大学)
      「解析ツールの共有~Dockerコンテナ~」
    • 池田 誠(合同会社パーシピア)
      「Galaxyにツールを実装する」
    • 志波 優(東京農業大学)
      「Nanopore解析用Galaxyの構築」
    • 丹生 智也(国立情報学研究所)
      「ワークフローを Common Workflow Language で記述する」
    • 末竹 裕貴(東京大学)
      「データ解析のためのテストフレームワーク」
  • がんの数理モデル研究の新潮流

    オーガナイザー:新井田厚司1 , 島村徹平2(1. 東京大学 医科学研究所, 2. 名古屋大学大学院 医学系研究科)

    近年,実験技術の進展により定量的なデータの取得が可能なってきたがん研究の分野では数理モデル研究の重要性が増してきている。例えば、次世代シークエンサーによって、がんゲノムデータが膨大に算出されがんの遺伝的多様性の全体像が明らかになってきたが、がんの進化を再現する数理モデルを利用して、その起源を探求する研究が進んでいる。また、がんの遺伝的多様性を生みだす進化原理はがんの治療抵抗性を理解するための鍵であり、多様性を再現するがん進化モデルを用いることで、治療抵抗性を克服するための治療戦略もデザインできると期待されている。さらに、計算資源の増大に伴って、解析的な求解が困難な数理モデルでもシミュレーションを用いてその振る舞いを容易いに調べることができるようになってきており、また実データに数理モデルをフィッティングし、パラメータ推定、モデル選択を行う手法の開発も進んできていることから、数理モデル研究自体の可能性もさらに広がっている。以上を踏まえて、本セッションではがんの数理モデル研究に取り組んでいる4人演者から最新の話題を提供してもらうことで、当該分野の魅力、将来性を紹介したい。

    • 新井田 厚司(東京大学 医科学研究所)
      「がんの多様な進化様式を統一的に記述するシミュレーションモデル」
    • 加藤 護(国立がん研究センター バイオインフォマティクス部門)
      「がんホールマークと腫瘍関連遺伝子に基づいた、がん細胞進化のシミュレーション・モデル」
    • 島村 徹平(名古屋大学大学院 医学系研究科)
      「がん免疫療法の耐性化ダイナミクスを理解するための数理モデリング」
    • 波江野 洋(東京大学大学院新領域創成科学研究科)
      「EGFR変異陽性非小細胞肺癌における最適投薬戦略の数理研究」

BoF セッション企画公募

公募受付締切
2019年 5 月 31 日(金) 18:00 受付を締め切りました
提出先メールアドレス
iibmp2019@googlegroups.com

今年の連合大会は「社会と融合する学問」というテーマを掲げ、進化の不思議の解明から、予防医療の実現まで、幅広い応用を見据えたバイオインフォマティクス技術と、その応用に関する最先端の研究発表の場にするとともに、ゲノム情報を活用した研究における社会との関わりを皆様と一緒に考える機会としたいと思っております。
つきましては本大会で、BoF (Birds of a Feather)セッション企画を会員の皆さまより公募いたします。ご提出いただいた企画案は、プログラム委員会において厳正なる審査を行ない、採否を決定します。採否結果は6月下旬頃に応募者へご連絡いたします。下記要項をご確認のうえ、奮ってご応募ください。