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開催趣旨
本大会は2012年から生命医薬情報学連合大会として開催されてきました。第8回目となる今回も昨年に引き続き日本バイオインフォマティクス学会と日本オミックス医学会(旧日本オミックス医療学会)の2学会合同大会として開催いたします。さらに日本バイオインフォマティクス学会としては、20周年の大きな節目でもあります。本年は、東京工業大学大岡山キャンパスにて開催します。
情報解析を駆使する生物学の分野にバイオインフォマティクスという名が与えられてから約20年、その裾野は広大であり、現在では基礎生命科学のみならず医学・薬学、進化学、情報科学、農学など様々な領域へと及んでいます。バイオインフォマティクスが扱う研究内容は多種多様で、分野を代表するキーワードも時代ともに変遷してきました。配列解析、構造解析、ネットワーク、機械学習、ビッグデータ、AIなど、今後も別の分野と融合してますますとひろがっていくことが予想されます。中でも機械学習やAIに関する分野は、学術だけでなく産業面においても非常に重要であり、その研究速度は著しいものがあります。バイオインフォマティクスに限らず重要性が高まり広がる学術分野は細分化されそれぞれが独自の分野へと発展していきます。細分化された各分野はさらに価値のあるものへと発展していきますが、一方でその発展の速さは分野間の情報共有を難しくしてしまいます。発展している分野全体をまたぐ情報共有を積極的に促進することにより、その分野はさらに価値のあるものへと昇華し、そこでの知識共有がさらなるイノベーションへとつながります。現在ではデータ解析に用いた独自のプログラムや解析パイプラインをGitHubなどのオンラインレポジトリによって共有することが一般的になっています。しかしながら、バイオインフォマティクスが融合させている多くの分野間において、知識共有はオンラインレポジトリだけでは十分ではありません。学会はこのようなオンラインで共有することが難しい情報を共有する場としても存在しています。本大会では特に、バイオインフォマティクス分野が関わる多くの領域間で情報共有を積極的に行う場であることをここに強く明言します。
領域間の情報共有という意味において示される領域は学術分野だけはなく、企業体、医療機関、政府機関、そして一般国民も含んでいます。その中でも情報共有が比較的うまくいき、バイオインフォマティクスが広くそして重要なツールとして活躍している一つの分野が医学・薬学分野です。がん治療の際に行われるゲノム医療は昨年度に先進医療に認定され、臨床現場においてさえ、その重要性が高まっています。今後ゲノム医療においては、実際のゲノムデータ解析によってどのような解釈ができるのか、臨床データと紐付けられた遺伝子配列情報からどのような解釈が可能なのか、など臨床現場との連携が進んでいくことで、バイオインフォマティクスはその価値をより高めていきます。
成功例である医学・薬学分野だけでなく、今後はさらに多くの分野でバイオインフォマティクスがサイエンスの枠を超えて利用されていくことが予想されます。どこまで広がる可能性があるかについて、異なる分野にいる全ての人々が互いに情報を共有し、その価値観を議論することが次の20年のサイエンスの礎になります。
本大会では学術分野のみならず、医療機関、企業体、学生、一般社会、それぞれの立場にいる方が参加できる入口と出口を用意します。サイエンス、そしてバイオインフォマティクスは楽しく、そして未来に価値を生むものです。全ての人々が自分と共有できることを探し、自分が乗っているバイオインフォマティクスの巨人の肩にできるだけ多くの人材を乗せることが、それぞれの研究を進めてくれるでしょう。本大会において、異なる価値観が十分に融合すること期待しております。バイオインフォマティクスに関心をもつ多くの方々にぜひご参加ならびにご支援をお願いできれば幸いです。
大会長 山田 拓司
- キーワード
- バイオインフォマティクス、社会への融合、知識共有
- 使用言語
- 日本語(一部英語での発表も含む)